JCB 京都 東福寺 拝観レポート

京都

2022.2.28

冬空の東福寺
心静かに枯山水庭園を観賞

MADE BY JCB 開催レポート

【この企画は】

澄んだ空気と静けさを感じられる冬の東福寺。
作庭家である重森千氏を案内人に迎え、庭園の解説をしていただきました。
※当日は新型コロナウイルス感染症対策に留意して行いました。

枯山水庭園「本坊庭園」の
誕生に込められた背景

澄んだ空気と静けさを感じられる京都の冬。今年は冷え込む日が多く、臨済宗大本山東福寺でも数日前の雪の名残が見られた。東福寺の本坊庭園“八相の庭”は東西南北に建物を取り囲むようにして作られ、作庭家の重森三玲(しげもりみれい)氏によって昭和14年に手掛けられた。現代日本庭園の最高傑作のひとつとも言われている。当時の執事長から「本坊内にある資材を廃棄することなく、再利用すること」という条件を出され、制約のあるなかで斬新な庭園を生み出すという逆転の発想から完成させた庭園である。

三玲氏の孫であり、同じく作庭家・庭園研究家としても活躍している重森千(しげもりちさを)氏に当時の作庭の裏側を解説していただいた。

まずは南庭から。左側の石組は仙人が住む四神仙島【蓬莱・瀛州・壺梁・方丈】を表しているという。
立石の力強さを和らげるために、6mもの巨大な横石を配置しており、どっしりとした存在感が印象的だ。ひとつひとつの石組に込められた思いを聴くと、それぞれの石に生命が宿っているように感じられた。
門から眺めるとまた違う趣を感じられて、角度によって様々な見方を楽しめるのも見所だ。

右側の苔は京都五山を表しており、最終案のスケッチでは現在地とは逆に描かれていたという。
鎌倉時代の様式を引き継ぎながら、誰もやっていなかった新しいものを組み合わせることを軸に作庭された本坊庭園。思い切った石の構成方法、荘厳な造りに圧倒された。

続いて西庭へ。葛石(かずらいし)とサツキを市松模様になるように刈り込んだ庭園。敷石の縁石である葛石は、直線的・人工的な様相で通常は作庭に使われることがないのだが、苦心の末、市松模様で表現したという。サツキの花が咲く季節には華やかなピンク色に彩られ、季節ごとに異なる雰囲気を楽しむことができる。

北庭は苔と石による小市松模様の庭園。灰色の石と緑色の苔のコントラストが目を引く。奥(東側)に行くほど敷石がまばらになっており、谷に向かって消えていくデザインになっている。三玲氏が学生時代に日本画も勉強していたことから、絵画のぼかし技法を庭園に組み込み、白川砂と苔の境目をあえてぼかすという通常の庭園では見られない技法を用いている。

最後に東庭を観賞する。こちらは北斗七星をモチーフに東司(とうす)で使用されていた石柱を用いた庭園である。高さの異なる石を並べるシンプルさにもかかわらず、思わず見とれてしまう。
これまで東西南北の趣の異なる庭をそれぞれに観賞してきたが、全体を通じたテーマや、庭と庭を繋ぐ仕掛け、更にはその奥に広がる風景を奥行き深いものにする力が感じられて、この庭園だけで壮大な物語を感じることができた。

静寂を感じる
東福寺塔頭「光明院」の特別拝観

本坊を出て歩くこと約5分、本堂を横目に使われている材木などの解説を聴きながら塔頭「光明院」へ向かう。入ってすぐに広がる「波心庭」は八相の庭と同時期に作庭された。大海を表す白砂、最奥中心に据えられた三尊石組を基点に立石が放射線状に組まれ、光明が差す様子を表現している。「時が経っても変わらない作品を観賞してほしい」と、あえて石を据えた所に木を植えない作りにしたという。
障子の開け放たれた寺の部屋から眺めた時のスケール感は、本坊庭園で受けた感動とはまた異なり、波音が聞こえそうなほど。参加者からも歓声があがった。

普段は入ることのできない茶室の2階から庭園を眺める。上から見るとダイナミックな庭の広がりを感じられ、静寂な雰囲気が楽しめる。

重森三玲氏の思いを引き継いだ千氏から作庭の裏話を聴くことで見る視点が変わり、じっくりと観賞を楽しむことができた。ひとつひとつの配置に込められた背景から、庭を作っている様子が浮かび上がるような詳しい解説で、当時に思いを馳せる贅沢なひとときとなった。

このイベントについて
開催日2022年1月23日(日)
会場名東福寺(京都)
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