JCB 京都 清水寺 拝観レポート

京都

2022.1.6

新たな姿となった清水寺へ!
僧侶と歩く名所の数々

MADE BY JCB 開催レポート

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【この企画は】

半世紀ぶりの屋根葺き替え工事が終わった清水寺。
有名な寺院の知られざる名所の数々を僧侶の案内付きで巡り、
改めてその奥深さを学びました。
※当日は新型コロナウイルス感染症対策に留意して行いました。

僧侶から聴く
清水寺のあり方

京都随一の観光名所である清水寺で開催された本ツアーは、普段は見ることができない清水寺の内部を見学できるというもの。最初に向かったのは、清水寺が重要なお客様をお迎えする迎賓室だ。お茶とお茶菓子を楽しみながら、案内役の執事補・大西英玄(えいげん)氏から清水寺の解説を聞いた。

年間約500万人もの人が訪れる清水寺は、「文化遺産」であり「現在進行形仏教寺院」である、という特徴がある。大衆に開かれた玄関口のお寺として、1,200年あまりの歴史を経てきた。2008年に開始した「平成の大修理」は、有名な「清水の舞台」がある本堂の屋根の葺き替えや舞台板の張り替えなどを含めて、2021年3月にすべての工事を終えた。お寺の姿のみならず、修繕の技術も含めてこれからの時代に受け継がれていくのだ。今回の修繕を経て、圧倒的に不足する木材を絶やさないために植林活動も始めることになったと言う。

迎賓室でお茶をいただいた後は、同じ建物にある「仏足石」を見学した。約4mもある仏足石は、仏師であり僧侶でもある西村公朝氏の作品。ここで大西氏からは、夢の話に例えて大いなる力に支えられている幸せの話を説いていただいた。

その後建物を出て、西門(さいもん)へ移動した。普段は閉ざされている門の中へ入る。西門とは、朝廷からの使いが通る勅使門だと言う。極楽に向かって西向きなので西門と言われる。場所は参道を登りきったところにある石段をさらに進み、拝観口へと行く道の間にある。そこからは秋空の下、京都市内や参道を行き交う人々を見渡すことができた。

清々しい気持ちのまま、普段は立ち入れない清水寺内陣へ特別に案内してもらう。内陣には本尊の十一面千手観音立像の前立仏(※)が祀られている。本尊は秘仏であるため通常厨子の扉は閉ざされているが、厨子前に安置されている本尊を模した前立仏でその姿を知ることができる。ご本尊を前に大西氏のよく伸びる声でお経が唱えられた。厳かな内陣に響き渡る声に、しばし時間を忘れて聞きいった。

(※)前立仏:前立仏は通常、厨子内に安置されている尊像と同じ姿の縮尺仏とする。清水寺本堂の前立仏は像高138cmと本尊よりもひとまわり小さく、桧材の寄木造を漆箔で仕上げている。

紅葉に色づく清水寺

清水の舞台を抜けて、「奥の院」から本堂を臨む。

50年に一度行われる屋根の葺き替え工事は大政奉還から数えると150年目で、今回は3回目の工事となった。紅葉が始まりつつある清水寺を眺めながら、まだ真新しい檜皮葺(ひわだぶき)の屋根には様々な人の想いが積み重なっているように感じられる。「1日1日は早く過ぎ去るように思えるが、楽しみなことの前だと時間がゆっくりに感じられるもの。でもその1日ごとは二度と来るかどうかもわからないものであり、この景色も次はいつ見られるかわからないもの。そうした一期一会を感じて欲しい。」といったお話を大西氏からいただいた。

成就院で
自然と豊かになるこころ

本堂の裏手を通って、山内の成就院(じょうじゅいん)へ向かう。成就院は、清水寺の塔頭寺院で、本日案内してくださった大西氏が住職を務めるお寺でもある。もとは本願院と言ったが、5度の火災に見舞われ、再建に携わった僧侶の再建の願いが届き成就院と名前が変わったのだという。通常は期間限定での公開だが、今回はJCB会員限定で拝観が叶った。

縁側に腰かけて「月の庭」を鑑賞する。高台寺山を借景に、池の周りを草花が彩る豊かな庭を眺めると、清水寺がいかに広大な敷地の中に鎮座しているかがわかる。そよ風の音と鳥の声を聞きながら、今日を静かに振り返る。多くの人が訪れる清水寺境内の様子が嘘のように、手水鉢の水音まで聞こえる空間を堪能した。
最後に大西氏からお話があった。「この庭の風景はどんなことを伝えているでしょう。あなたの“今回の”この人生はこのままで良いと伝えてくれています。水音・鳥の声も本来は失ってからはじめて大切なものだと気付くものです。“悟り”というのは、それを失う前に気づき、大切にして行動すること。本当に大事なものはなんなのか、失う前に気付くきっかけにしてもらえればと思います。」

寺院を訪れると自分がこれまで辿ってきた道を振り返るきっかけになることがある。誰をも受け入れ明日からの活力となる場を生む場所、清水寺のあり方が肌に触れて感じられる1日となった。

このイベントについて
  • 日程・会場
開催日2021年11月7日(日)
会場名清水寺(京都)
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