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2014.06.16 JCB貸切公演 帝国劇場ミュージカル「レディ・ベス」

英国女王エリザベス1世の若き日を描いたミュージカル
『レディ・ベス』。その世界初演とJCB会員優待企画
「スペシャル講座」をレポート!

約45年という長い間、英国を統治し繁栄をもたらした女王「エリザベス1世」。その即位までの道のりは決して平坦なものではない。偉大な国王ヘンリー8世の次女として生まれながら、その出生や血縁関係などで確執も絶えず、苦労を重ねてきたからだ。
そんなエリザベス1世が戴冠するまでの若き日々を描いたミュージカル『レディ・ベス』の公演が、4月11日(金)から5月24日(土)までの38日間、東京・丸の内の帝国劇場で上演された。
『エリザベート』や『モーツァルト!』のミヒャエル・クンツェ氏(脚本・歌詞)、シルヴェスター・リーヴァイ氏(音楽・編曲)、小池修一郎氏(演出・訳詞)というゴールデントリオが制作を手がけたことに加え、世界に先駆け日本が初演ということでも注目を集めているミュージカルだ。
レポートしたこの日の公演は、東京公演の千秋楽まで残すところあと5日という
5月18日(日)。JCB会員向け貸切公演日である。公演後に「ミュージカル講座」(抽選)までついたスペシャルな1日となった。

運命に翻弄されながらも気高く生きる「ベス」

ベス 花總まり
ベス役(Wキャスト):花總まり

まずは簡単に、ミュージカル『レディ・ベス』のストーリーを紹介しよう。
英国を統治した国王ヘンリー8世の娘として生まれたベスには、姉にあたる、スペイン王家出身の后の娘「メアリー・チューダー」がいる。ベスはメアリーを姉と慕うが、メアリー自身は、ベスの母親「アン・ブーリン」が自分の母親から父ヘンリー8世を奪ったと憎み、その娘であるベスにも執拗に牙をむく。

メアリー・チューダー 吉沢梨絵
メアリー役(Wキャスト):吉沢梨絵

この日、Wキャストのベスを演じるのは、宝塚歌劇団出身の花總まり。ベスのもつ高貴さと聡明さ、そしてかわいらしさを見事に演じる表現力は圧巻としか言いようがない。一方のメアリー(Wキャスト)は、俳優・歌手としても活躍する吉沢梨絵。通る声で、威厳あるメアリーの存在感を見事に表現している。
そんなベスとメアリーの二人は、プロテスタントとカトリックという相反する思想を信仰し、それが溝を深める大きな要因のひとつにもなっている。もちろんそこには当時の政治も色濃く影響し、メアリーが政略結婚をするスペインの若き王子「フェリペ」(Wキャスト・平方元基)や、同じくスペインの大使「シモン・ルナール」(吉野圭吾)、カトリック司教「ガーディナー」(石川禅)などがからみ、状況は混迷を極めていく。火の粉はベスにも降りかかり、ロンドン塔に幽閉されるなど運命に翻弄されていくことに……。

若き日のベスが心を許す人物「ロビン」との日々

そんなベスを公私ともに支えるのは、ベスの教育係である「キャット・アシュリー」(涼風真世)と、家庭教師でラテン語権威の「ロジャー・アスカム」(Wキャスト・山口祐一郎)だ。ベスがエリザベス1世として長きにわたり英国に繁栄をもたらすことができたのは、この二人による教育の成果が大きいとされている。

ロビン 山崎育三郎
ロビン役(Wキャスト):山崎育三郎

二人のほか、ベスの生涯に多大な影響を与えた人物として描かれているのが、吟遊詩人の「ロビン・ブレイク」(Wキャスト)だ。実在の人物ではないが、自由奔放な生き方の象徴として描かれたロビンの言動は、窮屈な暮らしを強いられているベスの目に輝いて映り、互いに心惹かれていく。生涯独身を貫き通したエリザベス1世の生き様に信ぴょう性と重みを感じさせる、見事な人物配置といえる。
この日ロビンを演じたのは、オリジナル版『レ・ミゼラブル』でデビューし、『ミス・サイゴン』『モーツァルト!』など多くの舞台をこなしてきた山崎育三郎。明るく楽天的なロビンの性格を、若さあふれる素直な演技で表現しつつ、心から愛したベスを諦めなければならない切なさをしっかり演じきった。
キャット、アスカム、ロビン、そして民衆。多くの人々に支えられ、ベスがエリザベス1世として即位の時を迎える華々しいシーンで、舞台は幕を閉じた。

雑誌「ミュージカル」副編集長 山内佳寿子氏×ロビン役
山崎育三郎氏による「ミュージカル講座」も

多くのミュージカル同様、今回もベスやロビンをはじめWキャストの採用があり、同じ演目ながら公演によってその雰囲気は全く違う。そのため二度三度と足を運んで違いを楽しむ観客も多い。
そんな観客のためにこの日、JCB貸切公演ならではのプレゼントが用意されていた。事前にアンケートを提出した人のなかから抽選で50名を、公演後に行う「ミュージカル講座」に招待するというものだ。講座は、雑誌「ミュージカル」副編集長の山内佳寿子の質問にロビン役の山崎育三郎が答える形で進行。あまり聞くことのできないミュージカル裏話などが盛りだくさんの20分となった。その一部を抜粋しよう。

山内 ロビン役を演じる上で大切にしていることは?

山崎育三郎 ミュージカル講座1

山崎 最初に、演出の小池先生に「ベスのことを本気で好きになれ」と言われたんです。Wキャストなので演じる相手は毎回違いますが、とにかくベスを好きになって、相手が何を思っているのかキャッチすること、それを第一に考えて演じています。
同じベスでも、花總さんは、稽古初日から完璧にベスでした。今でも花總さんが相手の日は非常にエネルギッシュで、自分のなかでは、お姉さんに引っ張ってもらうロビンという感じです(笑)。逆に、綾ちゃん(平野綾)は妹のようなタイプ。守ってあげないと、引っ張っていかないとという気持ちですね。
それにロビンは、ああ見えて「裕福な家庭で育った」という設定なんですよ。父に反発して旅に出た。だから、どこか品の良さを感じるキャラになるよう意識しています。

山内 キャストが変わることも影響するかもしれませんが、公演ごとに会場の雰囲気も違うと思うのですね。今日はいかがでしたか。

山崎 たしかに、毎回空気は違います。雨の日と晴れの日でも違う。観に来ていただく方々も、静かに鑑賞される日とそうでない日と。今日は熱気がある日でしたね。

山内 帝国劇場の今回のステージは、舞台の床全体が回転したり、持ち上がって角度がついたりと珍しい舞台装置だと思います。

山崎育三郎 ミュージカル講座2

山崎 そうなんです。稽古場はフラットなので、「はい、いま、回ってるよ!」なんて言われながら練習はしていたんですが、実際に立ってみると違いますね。動いているところに飛び乗るとふらついてしまうんですよ。そのバランス感覚を掴むのに、最初は苦労しました。慣れてしまえば問題はないので、舞台全体に奥行や変化が出るおもしろい仕組みだと思います。

山内 今回、日本が世界で初めての公演ということでしたね。

山崎 実は、稽古が始まった段階で台本に書き終わっていない部分もたくさんあったんです。曲も途中でリーヴァイさんが創作してどんどん変わっていくし。なかなかできない経験でしたよ。

山内 覚え直すの、大変ではなかったですか?

山崎 大変だったのは、キーが大幅に変更になったときです。歌詞の変更なら頭で覚えればいいんですが、キーとなると、ついつい前の音程が出てきてしまうんです。 小池先生は一番変更が多くて、公演が始まってからプレビューが変わったものもあります。最初の公演、1~2回だけしか演じなかったので、鑑賞した方は逆にラッキーだったと思います。

山内 エリザベス1世のお話ということで、歴史的な背景なども重要かと思いますが、勉強はされましたか?

山崎 しましたよ。稽古場には関連した本や映像もたくさんあったので。ロビンは実在の人物ではありませんが、ベスを女王にする大きな役割を果たした存在として、実在していたかのように感じてもらえたらうれしいですね。

山内 最後に、「ミュージカル講座」として、ミュージカルの楽しみ方を伺いたいと思います。

山崎育三郎 ミュージカル講座3

山崎 どの役でもいいんですが、誰かしらに感情移入して観ると楽しいかもしれません。あとは、音楽を覚えて家でも歌う! 実は僕たちも、自分以外のパートの歌も覚えてしまっていて舞台袖で歌ったりするんです。そうすると、不思議と感情が込められるんですよね。舞台と一体になる、というのがコツじゃないでしょうか。
東京公演はもうすぐ終わりますが、このあとは地方公演もあるのでぜひ楽しんでください。

盛況のうちに幕を閉じた『レディ・ベス』東京公演。地方公演は、7月大阪、8月福岡、9月名古屋へと続く。はたしてどんなベスに出会えるのか。乞うご期待!

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